前回述べたのは読書感想文は本の紹介ではなく、本と出会って何かが変わった「自分の話」を書かなければならない、ということです。しかし、そうは言っても何をどう書けばいいのか分からずに、何時間経っても埋まらない原稿用紙を前にうなっている生徒たちも多いに違いありません。そもそもいきなり原稿用紙に書こうとしている時点で間違っているのです。

実は読書感想文に限らず、作文というものはいきなり用紙に書いてはいけません。

まずは「設計図」をノート(またはいらないプリントの裏)に書きましょう。

その設計図とは、

① その物語を読む前と読んだ後で、自分の何が変わったか。

・読む前の自分の性格、考え…

・読んだ後の自分の性格、考え…

② ①の変化は物語の、どの場面に最も強い影響を受けたか。

・登場人物たちの行動、台詞、体験…

③ ②の理由や具体例

・なぜ②のように思うのかという理由、自分の生活の中での具体例など…

④ まとめ

・その本との出会いをどう考えるか…

・本から得たものを今後にどう活かすか。あなたのこれからについての考え…

①~④までを簡単でいいので、書いてみてください。原稿用紙に書き始めるのはそれからです。

面倒くさいですか? でも、1時間も2時間も悩んで筆が動かなかったり、途中で詰まって最初から書き直したりする方がよほど面倒ですよね。

読書とは小説(物語)であるなら、その行為の本質は擬似的な人生経験であると思います。本と出会い、登場人物たちと出会ったことで、本を読んだあなたは本の世界を生きたはずです。そして、登場人物たちと触れ合い、怒り、悲しみ、喜んだはずです。その中で、何かを感じたはずですよね。

それを素直に言葉にしてみましょう。