鶴見丘高校にするべきか、それとも翔青高校にするべきか。

別府の中3生(というよりその保護者)が頭を悩ますのが受験する高校をどうするか、でしょう。学年トップクラスで、なおかつ県模試で300点中220点を超えるような子たちは別府市内であれば鶴見丘高校が1番ですし、体力的に問題がなければ大分市まで出て、県内トップ校の上野丘高校・豊府高校・舞鶴高校・あるいは東明特進に進学し、県内中の猛者たちとしのぎを削るのも良いと思います。

170点から200点ちょっとくらいの子たちは鶴見丘で頑張った方が良いと思います。大分市内に通うことになれば時間的な余裕は全くありませんし、通学による疲れは慢性的な睡眠不足となって受験生を苦しめます。また200点以下だと学力的にも上野丘の合格は難しいため悩む必要がありません。

問題は140~160点くらいの生徒たちです。模試や学校の実力テスト・新研究テストによっては130点~190点と点数が上下するので、鶴見丘高校だと本番で失敗すると不合格になりかねません。とはいえ、翔青高校だと進学実績的に不安が残ります。そう考える保護者の方も増えているし、塾関係者もそう思っています。そして、それは決して間違いではないと思います。それに青山高校が翔青高校になったことで学校の合格ラインは下がったことは事実で、2015年の翔青高校1期生たちが3年後にどうなるかまだ分からない状況です。

正直に言えば、翔青でトップクラスの成績でも地元の国公立大学である大分大学に通ることさえ難しいと思います。

ですから、別府市内の多くの保護者の方ができるのならわが子を鶴見丘高校に通わせたいと思うのが当たり前だと思います。

しかし、ここで逆に鶴見丘に通うデメリットも考えてみたいと思います。

「えっ、そんなものがあるの?」と思われるかもしれないが、実はあるのです。

それは生徒・保護者がともに国公立大への進学を目指していない場合です。
鶴見丘高校はカリキュラムそのものが国公立大志望者向けなので、私立大や専門学校を目指す生徒には全く向いていません。理系で例えるなら数学Ⅲが受験で必要なくても、受験ぎりぎりまで授業はありますし、テストもあります。実際にそうなってしまった子たちはかなり辛そうでした。そういう子たちは翔青高校の方が負担は軽くて良かったかもしれません。

また、他塾さんではどのような方針をとっているかは分かりませんが、私としては鶴見丘高校のボーダー(ほとんど合格するライン)は300点中160点だと考えています。(ちなみに学校の内申点や調査書で低い評価だと入試で高得点をとっても落ちます)160点以下でも絶対に合格しないとは言いませんし、実際に130点くらいの子でも合格しているのですが、それは内申点や調査書で心配のない子だけですし、落ちるかもしれないというリスクもあります。私なりの判断では300点中150点が境目だと思います。150点以上なら受かる実力はあります。あきらめずに鶴見丘にチャレンジしてほしいと思います。140点くらいでもまだぎりぎりまで狙ってほしいです。しかし、130点以下つまり半分もとれていない状況だと内申点がないと厳しいですし、合格しても学校の進度や内容についていけない可能性が高くなることは覚悟してください。

それに翔青高校に比べて宿題の量も多く、難度も高いので、中学のときはそこそこ上位だった子がみるみるうちに順位を下げていきます。そうなった結果のモチベーションの低下は恐ろしいです。高校内容は暗記の量も多く、センスだけでは超えられない壁がありますから。

ではそのような生徒たちに私はどうしているかというと、そうなるくらいなら翔青高校でトップを狙いなさいと言っています。その方が国公立大の推薦ももらいやすいし、私立大の指定校やAO入試に有利となります。実は進学状況の多様性においては翔青高校の方が勝っています。ただし専門学校や短大、私大に行く子もいれば国公立大学を目指す子もいる翔青高校では学力差が大きいため、塾や予備校などの学校以外のサポートが必要でしょう。しかし、それさえあれば鶴見丘高校に通うより良い結果になるかもしれません。

実際にこれまでも塾でセンター対策をしていた生徒の方が直前まで2次対策に追われていた上野丘、鶴見丘の生徒より高得点を獲ることができ、第一志望の大学へ進学することができました。ただし、これはあくまでも本人が周囲に流されずに頑張った結果です。翔青高校に進学した場合、ほとんどの子が遊びや部活に夢中で勉強をしなくなっているということは目を背けてはいけない現実でもあります。

優秀な成績で翔青高校(青山高校)に合格した子たちが高3になって全ての志望校の判定がE判定というのは珍しい話ではないのです。ですから、あくまでも自分で頑張れるという意思があるのであれば、翔青も「あり」だと思います。

そうでないのなら基本的には鶴見丘高校をお勧めします。ただ、鶴見丘高校にも少し問題があって、それは国公立大受験対策としてセンター試験の対策をもっと早くからするべきだということです。現状は11月、12月くらいからなので、難関大クラスの生徒以外は少なくとも夏以降はセンター対策に集中するべきだと思います。以前あった鶴見丘高校の塾向け説明会でも進言しましたが、個人的には国公立大学への進学を目指す鶴見丘高校をはじめとする別府市の高校はもっとセンター対策に力を注ぐべきだと思っています。センター対策が1ヶ月そこそこで良いのは超難関大を目指す一握りの生徒たちだけです。

学校選びについてもう少し述べると、どうしても「頭が良さそう」「楽しそう」などのイメージや進学実績ばかりに目が行きますが、それは誰が見ても分かることで、むしろ高1・2の生徒にどういう働きかけをしているのかといった地味なところにも目を向けておいていただきたいと思います。受験が終わったばかりの1年の時にしっかりと大学受験を意識させて、勉強を継続させられるかが、3年生の成績に大きく影響します。

そういう意味ではやはり翔青高校より鶴見丘高校の方が意識付けがされていると思います。

ただ、残念ながら難関大学への進学者数が多い学校に行けば、自分が、あるいは自分の子どもがそれらの学校へ進学できる確率が高くなるわけではありません。どんな進学校でも学年順位の下位層は国公立大学に合格することは難しいのですから。

このように高校選びはもちろん大事なのですが、それ以上に自分の志望する方向に合った準備を高い意識を持って高1の春から備えることが大事です。これまでの経験では多くの高校生は高1の終わりか高2くらいになってから塾通いを考えるようです。遅い子は高3の9月ですが、それだとちょっと遅すぎて対策が間に合わないことが多いです。1科目くらいならなんとかなっても、9科目そろえて大学受験で成功したいのなら早い方が良いに決まっています。

個人的に最も大事な時期は最初の1年、高1のときだと思っています。例えば古文の助動詞などは上野丘や岩田の超上位層でもすべて覚えている子は稀です。1年生で学習する物理基礎は数学で未習の知識が必要で、理系科目が苦手な人は物理嫌いになりやすい状況です。センター試験にしても2次試験にしても本質なものの考え方ができていない子は点数がとれないように作っています。1年生の内容は大学受験の土台であり、その土台がしっかり築けていないのに大学受験も何もありません。

また、学校や塾の先生が勧めてくださったからという理由で学校を決める方も少なくはありませんが、学校には学校の、塾には塾の思惑があることを忘れてはいけません。基本的には学校も塾も生徒を落としたくないため、安全策をとって志望校を下げる傾向にありますし、実績を出すためにとその逆もあります。

学校の方がその傾向は強いため、実際のレベルより下の高校を受けさせる傾向があるのは確かです。それで入学後に後悔する生徒も多く見ているので、あくまでも自分が行きたいところに行くことが大事です。自分の将来を左右しかねない選択ですから、決して他人任せにせず、自分がその学校に通うことになった場合のことをしっかり考えてほしいと思います。