大分県公立高校入試2023年度国語(論説文)の解説

こんにちは。個別指導LOGIQUE大分校の小野です。

今回は大分県公立高校入試2023年度国語の論説文を解説します。

今回は生物多様性の話です。生物系の話は出題されやすいですし、せっかくなので少し解説しておきます。

生物多様性とは「種の多様性」「遺伝子の多様性」「生態系の多様性」の3つからなる概念です。

種の多様性:地球上にはいま発見されているだけで200万種ほどの生物が存在します。未発見のものも含めると3000万種ほどになるともいわれています。これを種の多様性と呼びます。

遺伝子の多様性:同じ人間でも、私たち日本人とヨーロッパの方の顔立ちは異なります。このように同じ種であっても個体や集団で差異が生じることを遺伝子の多様性と呼びます。

生態系の多様性:生態系とはざっくり「生き物の生きている環境」のことです。これが多様ということなので、森林やサンゴ礁、湿原、里山などその環境が多様であることを生態系の多様性と呼びます。

私は大学で生物学を専攻していましたし、今回の題材である生物多様性についても学びましたが、だからといって本文を雑に読んでも分かるかといえばそうではありません。どれだけ自分の得意分野の話であっても国語の問題である以上、丁寧に読み解くことは必要不可欠です。ただ、複雑なテーマや難解な文章である際にその分野の知識があればある程度読解の助けにはなります。普段から色々な知識に触れておくことが重要です。

過去問や模試を通して新たな知識に触れた時に「面白いかも」と思うようなことがあればぜひ調べるクセを付けてみてください。そういった知的な寄り道は受験の役に立つだけでなく、あなたの人生を豊かにするはずです。

目次

2023年度入試・論説文の解説

環境省「いのちはつながっている 生物多様性を考えよう」より(一部表記改めあり)

問1 文章説明

(1)「【文章1】から四十字以上四十五字以内」、草原全体は安定することができる。

この問題がおそらく2023年度論説文で一番難しいと思います。しかもそれが1問目なので心が折れた受験生も多かったかもしれません。

文章1に書いてある、草原全体がどうなったときに安定するのかということを過不足なく説明しなければならないという感覚を身につけてください。また、まとめノートを見てわかる通りここでは文章1の実験部分のみの話をしています。文章1の後半部分のニュアンスは入れないよう注意しましょう。

「草原全体は安定することができる。」は、どういう状況でもと本文で言われているでしょうか。
「少々の環境変化があっても」とあります。

少々の環境変化があっても→草原全体は安定することができる。

という流れです。日本語として綺麗になりましたが、これだけ読んでも意味が通りませんよね。
「どういう状態であれば/どういう時であれば」が説明に含まれていないためです。文章1では種の多様性の話をしています。つまり色々な種類の草があれば、草原が水浸しになったり干ばつになったりしてもどれかは生き残るので草原は保たれるという内容です。

これを本文中の言葉を使いつつ、上記の流れに合うように見つけに行きましょう。

「種類がたくさんあったほうが、」あたりが使えそうです。「草の多様性が高いと」などと言い換えられると尚良いでしょう。現時点では

草の多様性が高いと→少々の環境変化があっても→草原全体は安定する

となっています。まだ説明が足りていないことに気付けるでしょうか。

なぜ草の多様性が高いと環境変化があっても安定すると言えるのかという理由の部分が抜けていますね。理由の部分を本文から探すと「環境にぴったりマッチした草が生えてくるので全体としての生産性が高くなるのである。」あたりが見つかると思います。これだと少し長いので「環境にあった草が生えてくるので生産性が高まる」などと言い換えると良いと思います。最後にこれらをスムーズに繋げます。

模範解答.草の多様性が高いと、環境に合った草が生えてくるので生産性が高まり、少々の環境変化があっても(45文字)

(2)(3)(【文章1】から七字)ことで、環境に(【文章1】から七字)が起きても、草原全体は安定することができる。

(2)(3)は一文となっているので一気に解説します。この文章を見て何となくどんな内容になりそうかということを本文の流れを理解したうえで予測します。この「予測する」という力は抜き出し問題で必須です。これがなければ何度も本文を読み返すことになりますがそんな時間はないからです。

今回の場合は、(多様性を高める)ことで、環境に(よくないこと)が起きても、草原全体は安定する~。

とかになりそうですよね。ではこのような言い回しをしている部分を本文から見つけるだけということになります。(3)はすぐに見つかると思いますがもしかすると(2)は難しいかもしれません。そこで文章1の最後に、生物多様性を高めておくことを別の言い方で表現していることに気づければ正解できます。

答え.(2)冗長性を高める (3)突発的な出来事

問2 展開説明

すべての選択肢を確認していきましょう。

ア.たしかに植物、動物の種類ごとに具体的な事実を挙げて説明していますが、今回の問題は【文章2】の論理の展開の仕方についてなので一部分のみの説明であるこの選択肢は不適。

イ.生物多様性に関する筆者の考えについて文章全体を総括していないので不適。

ウ.文化への影響のみを説明しているわけではないため不適。

エ.特に問題ない文章。

よって答え.エ

問3 文章の構造把握

ここもそれぞれ見ていきましょう。

(1)
ア.【文章2】では遺伝的な多様性についての理由が示されていないので不適。

ここで冒頭の遺伝子の多様性がどういうものかを何となく知っていれば答えやすいですのでやはり興味のある分野を勉強の息抜き程度に調べてみることは思わぬところで助けになるかもしれませんね。

イ.たくさんの視点から生物多様性の重要性を説明しているので不適。

ウ.特に問題のない文章。

エ.歴史的な観点から説明していませんし、将来的に大切だからいま守ろうという話もしていないので不適。

答え.ウ

(2)
ア.人間以外で構成されるすべての生物のつながりを守るために必要という部分が不適。【文章2】では生物多様性は人間が生きていくうえで必要不可欠という内容である。

イ.人間の生存に必要な最小限の生物の保護だけでは駄目だということが特に【文章2】で書かれているため不適

ウ.生物多様性を維持するたくさんの重要性の中の一つとして文化的な営み(=感性を豊かにする)についての記載があるので不適。

エ.特に問題のない文章

答え.エ

2023年度公立高校入試論説文の総評

今回はなかなか難しかったのではないかなと思います。

1問目から記述問題が出るというのもこれまでの出題傾向からすると珍しいです。難しい文章や馴染みのない話題の時でもきちんと正確に文章を読むことが出来れば満点は必ず取れます。

LOGIQUEではこの記事のように、すべての設問のすべての選択肢を論理的に検証することで「なぜこの答えでなくてはならないのか。」を一緒に考えていきます。

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この記事を書いた人

小野のアバター 小野 LOGIQUE認定パートナー講師

小学生の頃から戸高が勤務する塾で学び、国語力を土台に着実に学力を伸ばす。別府の進学校を経て高知大学へ進学。卒業後は大分県内の市役所に勤務し、実務経験を積んだのち、子どもたちの学びに直接関わりたいという思いから、現在はLOGIQUE大分校にて指導を担当している。

自身が「文章を正しく読み、筋道立てて考え、自分の言葉で表現する力」を身につけることで学びが変わる経験をしてきたからこそ、生徒にも答えだけを教えるのではなく、納得しながら理解できる指導を大切にしている。落ち着いた人柄で、一人ひとりに丁寧に向き合うことを心掛けている。

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