2025年度福岡県公立高校入試(論説文)の解説

今回は福岡県の公立高校入試の解説です。

「知覚」と「直観」についての文章です。

あまり意識したことはなかったですが、たしかに本文にある通りバナナを見た時に「細長くて黄色くてすべすべとしていてところどころに黒い点があって」とは考えません。即座にそれがバナナだと認識します。しかしこの時上記の具体的な部分が自然と頭に浮かんでいます。

これに対し直観は抽象的なこと、物事の核心のみが浮かぶということでした。個人的には凄く納得したのですが、先日ある高校の1年生の数学の期末テストの問題を見ました。さーっと目を通してこういう解き方かと理解しました。もちろん全て計算して解けばそれなりに時間はかかるのでしょうが、こうやって解くんだろうなという道筋はパッとわかります。この時具体的な数字は全く頭の中にありません。

本文では、直観とはたくさん経験して物事の核心を掴んだ時に手にできるものと主張されています。先ほど例に挙げた高1の数学のテストの平均点は散々なものだったそうですが、私が学生時代に今のようにすらすら解法が思いつけたかといえば確実にそんなことはありません。他の人と同じように散々な点数を取っていたと思います(笑)

今スラスラ解法が直観的に浮かぶ理由は経験と言語化です。皆さんもたくさん経験していろいろな教科で直観を身に付けてもらいたいです。その直観を国語力で言語化していきましょう。

目次

2025年度入試・論説文の解説

信原幸弘『「覚える」と「わかる」 知の仕組みとその可能性』(一部表記改めあり)


問一 語句の穴埋め

本文中のX、Yに入る語句を考える問題。

まずはXの直前の表現に注目します。数学の証明問題で頭をひねっても答えがわからないので解答を見たという状況説明の後の文です。

「しかし、答えを見てもなお、よく(X)と感じることもあるだろう。」

答えがわからなくて解答を見たあとに「~してもなお」とあります。ここから、答えを見ても「わからない」という流れになることがわかります。

次にYです。

Y付近の文章の流れを見ると「答えを見ると、どういう流れで結論が導かれているかはYだが、それでも腑に落ちない。」という形になっています。

「だが」や「しかし」のような逆接の接続詞があるため、後ろの腑に落ちないというマイナスのニュアンスとは逆のものが入ります。よってYには「わかる」が入ります。

答え:2

問二 接続詞の穴埋め

本文中Zに入る接続詞を選ぶ問題。ここでZの前後を確認しましょう。

~それは直観によって捉えられる証明の核心ではない。

(Z)

証明の核心を直観的に把握できなくても、証明をよく暗記すれば~

となっています。Zより前の文に筆者の主張があり、Zより後の文でなぜそのような意見なのかの理由が書かれています。主張の理由付けがZを挟んで行われているという構造が理解できれば答えが分かります。

答え:4

問三 本文のまとめ

本文で語られている知覚と直観を次のようにまとめた。(Ⅰ)に入る言葉を「情報処理」という語句を用いて二十五字~三十字で書きなさいという問題。

「知覚と直観は、それぞれ形成されるときに、(Ⅰ)という点がよく似ている。」

記述問題は答えの要素となる部分を探すことから始めます。例えば今回であれば、知覚と直観はどこが似ているのかということを本文から探します。

「知覚と同様のことが、直観でも生じている。直観においても、その形成過程は意識されず、結果だけが意識にのぼる。」

ここがピンポイントで知覚と直観の類似性を述べている。「同様のことが」という表現に気付くことがポイントです。

この一文をまとめて答えにすればよさそうですが、まだやることがあります。

「その形成過程」の「その」が指すものを明らかにしなければいけません。ここで本文の表現に「順次、情報処理がなされていく過程は、意識にのぼらない。」と書かれています。

今回は情報処理という語句も入れなければいけないため、「その形成過程」を「情報処理がなされる過程」と言い換えましょう。

答えに入れるべき要素は「情報処理がなされる過程は意識されない」「結果だけが意識にのぼる」の2点です。

模範解答:情報処理がなされる過程は意識されず、結果だけが意識にのぼる

問四 段落の役割

本文のAの部分の段落がどのような役割を果たしているかという問題。
ひとつずつ確認してみましょう。

1.別の例でも同じことが言えると説明している段落のため不適。

2.Aでは、これまでは視覚的な例を挙げたもののこれは聴覚的にも言えるという例を挙げています。バナナの例はAで語られていないため不適。

3.同じ意見の他者の意見はどこにも見られないため不適。

4.これまではバナナの話のように視覚的な例を挙げていたが、それは音楽のような聴覚的なことでも起こりうるとAでは述べており、説明は正しい。

答え:4

問五 本文における直観のまとめ

「直観では、知覚と違って、物事の核心という(ア)のみが意識に現れる。物事の核心を(イ)という点で、直観は非常に重要である。」

(ア)は本文中から六字で抜き出し
(イ)は十五字以上二十字以内でまとめて書く。理解という語句を入れること。

という問題。

(ア):問三では知覚と直観の似ている点を探しましたが、今回は違う点を探します。ここで問三の傍線部の直後に「その一方で、重要な違いもある。」と書かれていることに注目しましょう。この後に書かれていることを要約すると「知覚は具体的だが、直観は抽象的である」ということが書かれています。
つまり知覚と直観の相違点は具体か抽象かというところだと筆者は述べています。今回は直観の説明をするので、本文中から「抽象」をキーワードに六字を探すと答えが見つかります。

答え.抽象的な内容

(イ):直観が非常に重要という内容が特に語られているのが本文最後の段落です。ここでは「直観は、知覚と違い物事の核心しか意識に現れない。」「直観は物事を具体的ではなく抽象的に一挙に捉える。」「物事の理解は直観によって深められる。」と筆者の主張が並んでいます。ここから要素を取り出して解答しましょう。

模範解答:一挙に捉え、私たちの理解が深められる

総評

文章の構成が掴めていれば、難しい問題もなく全問正解が出来るかと思います。今回で言うと

知覚とは何か・直観とはなにか・二つの類似点と相違点・直観の重要性

というような流れでした。

難しいと感じた人は、頑張ってしっかり読んでも知覚、直観、具体、抽象のような単語で混乱してしまったのではないでしょうか?

全文を同じ熱量で読み切ろうとすると何が重要かわからなくなり、特に論説文のような小難しいことが書いてあるものだと頭に入らず、最後の方はただ文字を目で追っているだけになってしまいます。

読むためのコツが身に付けばそのような状況は改善されます。

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この記事を書いた人

小野のアバター 小野 LOGIQUE認定パートナー講師

小学生の頃から戸高が勤務する塾で学び、国語力を土台に着実に学力を伸ばす。別府の進学校を経て高知大学へ進学。卒業後は大分県内の市役所に勤務し、実務経験を積んだのち、子どもたちの学びに直接関わりたいという思いから、現在はLOGIQUE大分校にて指導を担当している。

自身が「文章を正しく読み、筋道立てて考え、自分の言葉で表現する力」を身につけることで学びが変わる経験をしてきたからこそ、生徒にも答えだけを教えるのではなく、納得しながら理解できる指導を大切にしている。落ち着いた人柄で、一人ひとりに丁寧に向き合うことを心掛けている。

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