小学校から学び続ける重要な教科のひとつ「国語」。
その国語が、高校の学習指導要領の改訂によって学ぶ内容が変わったことはご存知でしょうか。2022年4月に高校に入学した高校生の皆さんからは、いよいよ新課程となる国語を学習することとなります。
そこで今回は、学習指導要領改訂のポイントをご紹介しつつ、時代にニーズに合わせて変化していく教科としての国語と、実施後の影響などについて解説していきます。
■高等学校学習指導要領「国語」の改訂のポイント

まずは、現行の学習指導要領では国語の科目がどのように定められていたかを見ていきたいと思います。
◆現行の学習指導要領:高等学校 国語◆
| 科目 | 標準単位数 | 必修(=★) |
| 国語総合 | 4 | ★ |
| 国語表現 | 3 | |
| 現代文A | 2 | |
| 現代文B | 4 | |
| 古典A | 2 | |
| 古典B | 4 |
上の表をご覧いただくと、国語の科目には6つ(国語総合/国語表現/現代文A/現代文B/古典A/古典B)があります。このうち、必修となっているのが「国語総合」となっていました。
これが新学習指導要領で改訂されたことで、必修科目「国語総合」と選択科目「古典A/古典B」の3科目が廃止されることが決定されました。
【廃止された3科目】
- 国語総合
- 古典A
- 古典B
そして、「現代の国語」「言語文化」「古典探求」の3科目が新たに新設されたほか、他の科目の再編も行われました。
【新設された3科目】
- 現代の国語
- 言語文化
- 古典探求
◆新学習指導要領:高等学校 国語◆
| 科目 | 標準単位数 | 必修(=★) |
| 現代の国語 | 2 | ★ |
| 言語文化 | 2 | ★ |
| 論理国語 | 4 | |
| 文学国語 | 4 | |
| 国語表現 | 4 | |
| 古典探求 | 4 |
このように、国語の各科目もかなり変更されたことがおわかりいただけるかと思います。
今回の学習指導要領改訂にあたっての大きな変化としては、これまでの国語学習の要でもあった「読む」学習から、より「話す・聞く」「書く」学習へのシフトです。
日本の高校の国語教育において、これまでの教材読み取りを中心とする指導では、話し合いや論述などの「話すこと・聞くこと」「書くこと」の領域の学習が十分ではありませんでした。そのため今回の改訂により、生徒が主体的に表現することを重視する内容へ方向転換がはかられたと言えます。
【改訂のポイント】
- これまでの必修科目「国語総合」に代わる新しい科目として、以下の2科目が必修となる。
- 「現代の国語」……実社会における国語による諸活動に必要な資質・能力を育成。
- 「言語文化」……日本の言語文化への理解を深める。
- 必修・選択に関わらず全科目において、理解したり表現したりするために必要な語句を身につけ、話や文章の中で使うことを通して語感を磨き、語彙を豊かにするための指導の改善・充実化。
- グローバル化やIT化の中で、論理的な思考力の育成につながる情報の扱い方を「現代の国語」「論理国語」で取り扱うとともに指導の改善・充実化。
- 日本の言語文化に関する指導を「言語文化」「文学国語」「古典探究」において改善・充実化。
- 「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」といった各領域の学習過程の一層の明確化。各過程における学習内容を全科目で改善・充実化。
■そもそもなぜ改訂が必要なのか?
日本の小中学校の教育指導の方針を示しているといわれて「学習指導要領」は、文部科学省が定めているカリキュラムのことです。およそ10年に1回の頻度で改訂されることになっています。学習指導要領があることで、日本国内のどこの学校に通っても、一定の水準の教育が受けられるようになっています。
そもそも、なぜ10年ごとに改訂されているのでしょうか?
社会の変化を公教育にも反映させるため
その主な理由として、「社会の変化」が挙げられます。
私たちを取り巻く社会は10年で大きく変化すると言われています。そのため、10年前にはなかったものや、考えられなかったものも年月とともに出現し、やがてそれが当たり前のように捉えられるようになっていきます。
学校で受ける公教育においても、このような社会の変化を反映させることで、その時代に生きる子どもたちにとって必要な資質や能力を身につけていけるようにしているのです。
■2025年度以降の大学入試はどうなるのか?

今年2022年春に高校へ入学した生徒たちから<新編成された教育過程>での学習がすでに始まっていますが、彼らが大学受験を迎えるのは2025年度の入試からになります。
これまで大学入試と言えば、「センター試験」でしたが、2020年1月を最後に廃止となり、それに代わる新しい試験として「大学入学共通テスト」の実施が2021年1月から始まりました。
これまでの知識偏重型の試験形式から、身につけた知識を応用する力を見るための試験に移行することになり、各高校でも将来の入試を見据えたカリキュラム編成が進められています。
そこで、現時点における大学入学共通テストの国語の取り扱いはどのようになっているのかを見ていきたいと思います。
2021年以降の国語は?2025年以降は?
2021年1月に実施された国語の大学入学共通テストでは、「国語」1科目のみの出題となりましたが、その中で「近代以降の文章(評論、小説)100点」「古文50点」「漢文50点」の200点満点で構成されていました。
これが、新課程で学ぶ生徒が2025年以降受けるテストでは、「論理的な文章」「文学的な文章」「実用的な文章」の3構成で出題される予定となります。
具体的な内容としては、従来の評論や小説以外に、法令文、報告書、企画書などの実用的な文章や、詩やエッセイなどの文章も出題が見込まれ、より<実社会>をキーワードとした内容の出題になります。
<新課程:国語>大学入学共通テストの出題範囲は?
新課程で必修となる科目が改訂されたことで、大学入学共通テストを実施する大学入試センターも新たな出題範囲を公表しました。
それによると、新課程の国語の必修科目である「現代の国語」と「言語文化」の2科目が出題範囲になる予定であることがわかっています。
■新課程は現場でどのような影響があるか?

現在、高校では旧課程で学ぶ生徒と新課程で学ぶ生徒が混在する状況となっています。
そのため、国語を教える側である教師にとっても、ここ数年間がまさに過渡期であることに違いありません。新課程での学習が実施されたばかりの高校の現場では、どのような影響があるのでしょうか。
まず挙げられることとして、科目編成の変更によって「生徒がどの科目を取るか」「誰が教えるか」「新課程の科目をどう評価するか」の3点の課題が生じることが考えられます。
必修科目である「言語文化」には、現代文や小説の他に古文・漢文も混在しているため、仮に現国・古文・漢文で国語教師の担当分けがなされているような高校の場合、どの教師がどのように教えるか、また時間割や評価の問題が浮かび上がっています。
また大学への進率の高い高校では、入試に向けて「論理国語」「古典探求」の選択が増えることが予想される中、文学作品をどのように取り入れていくのか、他の選択科目間との単位のやりくりも視野に入れられています。
さらに、新課程では実用的な文章や「書く」「話す・聞く」の比重が高められている中、国語の教師としてどのように教えるのか、また評価をどうしていくのかが挙げられています。
まだ始まったばかりの新課程の「国語」がどのような学びとなっていくのか、これからも注目を集めていくことになるでしょう。
<参考サイト>
・文部科学省「平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm
<参考サイト>
・大学入試センター「平成30年告示 高等学校学習指導要領に対応した令和7年度大学入学共通テストからの出題教科・科目について(令和3年3月24日)」
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou.html



