十八史略『先従隗始』本文・書き下し文・現代語訳・解説【予習・復習・テスト対策】

しきぶちゃん

「先従隗始」を予習しなきゃ。
明日テストなんだけど、現代語訳がわからないところがある…

そんな方はこのページを見れば「先従隗始」についてしっかり理解できます。

本記事の内容

  • 「先従隗始」原文と書き下し文
  • 「先従隗始」現代語訳
  • 「先従隗始」の重要語句解説
  • 「先従隗始」テストに出るポイント
目次

「先従隗始」原文と書き下し文

①燕人、立太子平為君。

燕人、太子平を立てて君と為す。

②是為昭王。

是を昭王と為す。

③弔死問生、卑辞厚幣、以招賢者。

死を弔ひ生を問ひ、辞を卑くし幣を厚くして、以て賢者を招く。

④問郭隗曰、「斉因孤之国乱、襲破燕。

郭隗に問ひて曰はく、「斉孤の国の乱るるに因りて、襲ひて燕を破る。

⑤孤極知燕小不足以報。

孤極めて燕の小にして以て報ずるに足らざるを知る。

⑥誠得賢士与共国、以先王之恥、孤之願也。

誠に賢士を得て与に国を共にし、以て先王の恥を雪ぐは、孤の願ひなり。

⑦先生可者。

先生、可なる者を視せ。

⑧得身之。」 

身之に事ふるを得ん。」と。

⑨隗曰、「古之君、有以千金使涓人求千里馬者。

隗曰はく、「古の君、千金を以て涓人をして千里の馬を求めしむる者有り。

⑩買死馬骨五百金而返。

死馬の骨を五百金に買ひて返る。

⑪君怒。

君怒る。

⑫涓人曰、『死馬買之。生者

涓人曰はく、死馬すら且つ之を買ふ。況んや生ける者をや。

⑬馬今至。』

馬今に至らん』と。

⑭不期年、千里馬至者三。

期年ならずして、千里の馬至る者三あり。

⑮今、王必欲致士、先隗始。

今、王必ず士を致さんと欲せば、先づ隗より始めよ。

⑯況賢於隗者、遠千里。」

況んや隗より賢なる者、豈に千里を遠しとせんや。」と。

於是昭王為隗改築宮、師事之。

是に於いて昭王隗の為に改めて宮を築き、之に師事す。

於是士争趨燕。

是に於いて士、争ひて燕に趨く。

「先従隗始」現代語訳

①燕の人々は太子の平を立てて君主とした。

②これを昭王という。

③(昭王は)戦死者を弔って遺族を見舞い、言葉遣いを丁寧にし贈り物を手厚くすることで賢者を招き集めようとした。

④(昭王が)郭隗に質問することには、「斉は私の国が乱れていることにつけ込んで襲撃し、燕を破った。

⑤私は燕がどうしようもなく小さい国で(斉に対して)報復ができないことを知っている。

⑥賢人を得て共に国の政治を行い、先代の王の恥辱を晴らすことが私の願いである。

⑦先生、ふさわしい人物を紹介してくれ。

⑧私はその方に弟子として仕えることになるだろう。」

⑨郭隗が言うことには、「昔の君主で、千金で使用人に千里の馬(一日に千里を走る名馬)を買いに行かせた方がいました。

⑩(その使用人は)死んだ馬の骨を五百金で買って帰ってきました。

⑪君主は怒りました。

⑫使用人が言うことには、『死んだ馬でさえ(我々は高値で)買い取ったのです。まして生きている馬ならなおさら(高値で買うに違いないと周りの人は思う)でしょう。』

⑬千里の馬はすぐにやってくるでしょう。

⑭一年も経たないうちに三頭の千里の馬が届きました。

⑮今、王がどうしても賢者を招こうと思うなら、まずは隗(を優遇すること)から始めてください。

⑯どうして隗より優れた者が千里(の道のり)を遠いと思うでしょうか。(遠いとは思わずに自らやってくるはずです。)」と。

⑰そこで昭王は郭隗のために新しく邸宅を築き、郭隗を師として仕えた。

⑱そうして(この話を聞いた)賢者たちは、争うように燕を訪れるようになった。

さらに詳しく

「先従隗始」の内容に関してさらに詳しく解説します。

時は中国戦国時代。燕の昭王が、郭隗に賢者を招き入れるにはどうすれば良いのか問います。

そこで郭隗は昭王に対して、大金で使用人に千里の馬を買い求めさせた昔の君主の話をします。

その使用人は死んだ馬を五百金もの大金で買って帰ってきました。そんな使用人に対して王は怒りますが、死んだ馬でさえ大金で買ったのだから生きた馬ならもっと高く売れるはずだと考えた人がおり、結果的に王は3頭もの千里の馬を手に入れました。

なりひらくん

郭隗はこの話を用いて、王が賢者を招きたいならまずは自分を優遇するよう求めたんだ。

郭隗は、死馬を自分、千里の馬を自分よりも優れた賢者に例えています。

王がそこまで名の知れていない郭隗を優遇したことで、郭隗よりも優れている賢者たちが、(郭隗でさえ優遇されるのだから、郭隗よりも優れている自分はもっと優遇されるだろうと考え)燕にやってきたのです。

この故事から先従隗始/先ず隗より始めよは、物事を行うときにまずは身近なことから始めるべきだという意味や、最初に言い出した人が率先して始めるべきだという例えとして用いられるようになりました。

「先従隗始」重要語句解説

④⑴因:「よリテ」【基づいて、乗じて】 

孤:「こ」【王侯が自分のことをへりくだっていう語】

而:【置き字(順接)】

「而」は送り仮名が振られていない場合は置き字。書き下す際は読まない。

順接の意味と逆接の意味を持つが、どちらの意味になるかは文脈で判断する。

雪:「すすグ」【恥や不名誉などを除き去ること

視:「しめス」【教える、紹介する】

事:「つかフ」【仕える】

⑨⑴千金:「多額のお金」 

使:「しム」【使役の助動詞】 

「使AB」で「AをしてBしむ」【AにBをさせる】の意。(Aは名詞、Bは動詞)

「使涓人求」の場合、使役の対象Aが「涓人」、Bは「求」にあたる。

※「使」は助動詞のため、書き下す際はひらがな表記にする。

A且〜、況B乎:「Aスラかツ〜、いはンヤB」【抑揚】

抑揚形になり、「Aですら〜だ、ましてBならなおさらだ」と訳す。

「死馬且買之。況生者乎」の場合、Aが死馬、Bは生者にあたる。

矣:【置き字(断定)】

置き字。書き下す際は読まない。

文末に置かれ、直前の語に対して断定・完了・意志などを表す。

意味は文脈上で判断し、ここでは断定を表す。

従:「よリ」【~から】

豈~哉:「あニ~ンヤ」【どうして~か、いや~ではない】

「豈ニ~(未然形)+ン哉」で反語の意味になる。

※「哉」は助詞なので書き下す際はひらがな表記にする。

⑰⑱於是:「ここニおイテ」【そこで】

「先従隗始」出典とテストに出るポイント

「先従隗始」の出典と定期テストに出るポイントをお伝えします。

出典  

『十八史略』全7巻。

元の曽先之編。神話時代から南宋時代までの歴史を年代順にわかりやすくまとめたもの。

日本でも教育入門書として室町時代から江戸時代にかけて盛んに読まれていた。

学校の定期テストに出るポイント

重要語句や漢字の読み方を覚えましょう。原文から書き下し文に直す練習をし、話の流れを理解しておくことが大切です。

なりひらくん

昭王の申し入れに対して、郭隗がどのように対応したのか理解しておこう。

良く問われる点は、

  • 郭隗は昭王に対して「先従隗始。」と言ったが、具体的にどうすることを求めているのか。
  • 郭隗は「死馬」と「千里の馬」を何の例えとして述べているか。
  • 「先従隗始」は現在どのような意味で用いられているか。

本文の内容をしっかりと理解し、その答えを導き出せるようにしておきましょう。

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